この名前を聞かれた方は一応にそう思われると思います。実際、同業の友人(他県の)も「?」マークが多かったものです。佐賀県には古くから「まるぼうろ」「丸ぼーろ」「丸房露」と呼び名はさまざまですが、「マルボーロ」と言う代表銘菓があります。
佐賀にお住まいの方は店名の「ふりあん」から想像なされるかと思われます。(店名は「ふりあん」とひらがな表示の名前にすぐに決めました。私が最初に覚えたフランスの焼き菓子の名前だったからです。)
「ふりあん」の「まるぼうろ」=「ふりあぼうろ」(私が作った造語です)
佐賀の銘菓「丸ボーロ」ですが、こちらは「ポルトガル生まれ、佐賀育ち」ということが言えます。
当店の看板商品として、フランス菓子を学んだ私が独自考案した焼き菓子「ふりあぼうろ」は「フランス生まれ、佐賀育ち」となるわけです。
ただ、食べていただくとその違いに驚かれると思います。何と、柔らかくて軽いお菓子なのです。多分一人で二枚はすぐなくなると思います。私は、本来の「マルボーロ」のレシピも作り方も本の中で知っているだけです。フランス菓子の分野で、同じものは当然ありません。
この地に店を構えると決めた時から、漠然としたイメージで「インパクトのある焼き菓子」をと模索していました。
最初は、想いの深い、この「フリアン」と言う焼き菓子を利用してと思い、試作を何度となく繰り返しました。「フリアン」は卵白ベースのバターケーキです。小さいから、多少重くても、外がカリッと中がしっとりで食べれるものです。ただ、「まるぼうろ」の大きさでは1個も食べれません。お腹いっぱいになってしまいます(^^)
失敗、失敗、また失敗の連続でした。
この間にメインの焼き菓子の名前を「ふりあんのマルボーロ」と位置づけた「ふりあぼうろ」と命名しました。さまざまな知人、友人のアドバイスで、コンセプトを
非常に難しい宿題です。オープンの日も刻々と近づいてきます。あせります。あきらめる気持ちにもなります。包材も決まり、シールのデザインも決まってしまいました。夢にもうなされた日々でした。
ある日曜日の夜、たまたまつけたテレビが皆様良くご覧になっておられると思いますが「あるある大辞典」という番組(2001年当時)でした。そこでは家庭で作れるふわっとしたオムレツの作り方の検証を放送中でした。これは為になりました。1個の卵を、卵黄と卵白に分け、卵白の方を箸で10回ほど泡立てるのです。そこに先ほど分けておいた卵黄を軽く合わせて、熱したフライパンにバターを入れ、卵を流し込み、弱火にして、かき混ぜながら焼いて行くというものでした。いわゆる卵白をメレンゲ状態にして、、、、、、、。「何だ、そういう事か!!」
次の朝、早速試作です。「フリアン」にこだわらないメレンゲベースの焼き菓子に移行しました。次々にアイデアが出て、その日のうちに試作の商品を5品程作り、家族やスタッフ、はたまたご近所の方、友人に試食をしていただきました。これには、よちよち歩きのお子様やお年寄りの方も含まれます。
その中で断トツの評価をいただいたのが、この「ふりあぼうろ」です。フランスの焼き菓子の「ダックワーズ」(アーモンドの粉をたっぷり使用したメレンゲ菓子です)に黄な粉をふりかけ、高温で焼き上げました。この黄な粉をふりかける発想は、離乳食時に妻が息子に「黄な粉ご飯」を与えていた光景がヒントでした。そういえば、自分も良く好んで食べた記憶があります。ただ、柔らかさを保つために、現在も私が1個、1個手絞りで焼き上げております。本当の手作り焼き菓子です。
やっと製品化にこぎつけました。フー!!でも、店のオープン10日前です。
「ふりあぼうろ」の誕生です。
オープンの日、何と2000個を試食に提供でき、お客様に喜んでいただき、現在に至っております。1年後には「ふりあぼうろ」の商標登録も叶い、お客様のお引き立てで、今や「旬菓房ふりあん」の看板商品に育っております。ちょっとしたお茶菓子や、お土産、ご贈答としてのご利用もさることながら、驚くほど地方発送が増えてまいりました。これもお客様のご支援の賜物と感謝しております。
今では、佐賀の新しい銘菓に徐々になりつつあると確信する今日この頃です。感謝。
2012年 春 吉日
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